Chromeベースの新しいEdge Mac版登場

サマリー

MicrosoftはEdgeをChromeベースで開発し直すことを発表した。Windows 10向けのCanaryバージョンは一ヶ月ほど前にリリースされたが、2019年5月21日、かねてより予告されていたmacOSバージョン登場した。Microsoft Edge Insiderからダウンロードが可能となっている。

EdgeのChrome化は何を意味するのか、ユーザーはどんな影響を受けるのだろうか。

Edgeとは?

Edgeは2015年に登場したデフォルトのWebブラウザであるInternet Exploreを置き換える次世代のブラウザである。レンダリングエンジンなどの基礎部分はIEから受け継いでいるもののUIや注釈の書き込みなど、機能面では全く違ったブラウザとなった。

また、パフォーマンス面でも大幅な進化を遂げたブラウザであった。前身のInternet ExploreのレンダリングエンジンであるTridentをフォークしEdgeHTMLを開発。ActiveXなどのレガシーな機能を削ぎ落とすことで高速化した。またJavaScript VMのChakraCoreをオープンソース化しデフォルトのV8をChakraCoreに置き換えたNode.jsを作成するなど開発も活発に行われた。

しかし、ここにきてEdgeはMicrosoftが培ってきた2つのコアを捨て新しくChromeをベースに生まれ変わることになった。

Chromeとはどんなブラウザか?

ChromeはGoogleが開発しているWebブラウザでGoogleのサービスを除いた大部分はChromiumというOSSで公開されている。IEやEdgeとは異なりレンダリングエンジンはBlink、JavaScript VMはV8である。BlinkはiOSやmacOSのSafariに搭載されているWebKitからフォークされたもので、この2つは親戚である。

進むChrome化, 他ブラウザの動向は?

EdgeがChromeベースになると発表されWeb業界では衝撃が走った。しかし、有名ブラウザが自社のレンダリングエンジンを捨ててChromeベースになった事例は過去にもある。一番有名なのはOperaだろう。OperaはもともとPrestoという独自レンダリングエンジンで作成されたブラウザだったが2013年にChromeのレンダリングエンジンであるWebKit(当時)に変更されることがアナウンスされた。また、ChromeがWebKitをフォークしBlinkに移行することを発表すると、Operaもこれに追従することを発表し事実上Chrome化したことになった。

他にもVivaldiなどの新ブラウザも登場しているが、これもChromiumを基盤としており実質的なChromeブラウザと言える。

一方で、Chrome化の流れがある中で独自のレンダリングエンジンを使用し続けているブラウザもある。それはFirefoxだ。

FirefoxMozila Foundationが中心となって開発されているオープンソースのブラウザである。レンダリングエンジンはGekco、JavaScript VMはSpiderMonckyでどちらも独自である。以前のFirefoxはIEに並ぶシェアを持っていたが、Chromeが物凄い勢いで猛追し2012年には両者のシェアは逆転、ChromeはIEを追い越し世界トップシェアとなった。

世界のブラウザがChromeに支配されることに危機感を抱いたMozilaはFirefoxの抜本的な改善に取り組んだ。というのも当時のFirefoxはアドオンを多く入れると非常に動作が重くなるなどパフォーマンス面でChromeに負けていた。また、XULがレガシーなものとなりパフォーマンスの要であるGeckoも抜本的な改良が必要となっていた。

そこでFirefoxはFirefox Quantumを発表。レンダリングエンジンこそGeckoを使っているもののUIはPhontonに刷新されChromeと似たシンプルな外観になった。さらに、Gecko自身も改良が加えられ、新たにRust言語で書かれたServoが導入された。拡張機能もWeb Extension形式に変更されChromeに搭載されている拡張機能と標準化された。これらの成果により重いイメージが浸透したFirefoxは見違えるようになった。レンダリング速度はChromeと同レベルになり、サイトによってはChromeより早い場合も度々ある。また、メモリ使用量もChromeより少なく非力なマシンではFirefoxの方が高速に動作するようになった。

Chrome VS Firefoxの2極化するブラウザ影響は?

主要ブラウザがChromeかFirefoxに2極化しているが、我々利用者にとって影響はあるのか。レンダリングエンジンなどの内部的な変更は無関係のようにも思える。しかし、ユーザーにもこの変更は大きく影響する可能性がある。

まず、対応サイトの変化だろう。多くのWebサイトではどのブラウザでも同じ外観と挙動になるように配慮がされている。しかし、一部のWebアプリケーションや業務WebシステムなどでChromeしかサポートされていない場合、使い慣れたブラウザから変更する必要があった。

レンダリングエンジンがChromeになることで、これらのサイトも自分の使い慣れたブラウザで使用できるようになる可能性がある。ただし、ユーザーエージェントはChromeと異なるので一部挙動が変わる可能性はある。同時に既存のEdgeのみ対応しているサイトの場合、今回の新しいEdgeは正しく動作しない可能性があるので注意が必要だ。

また、Web開発者にとっては大きな利点となりうる。レンダリングエンジンがChromeになることで数あるブラウザを一括りにChromeとして考えることができ、ブラウザ別にテスト、対応する作業が大幅に減る。

一般的に、各種ブラウザとも大方の互換性は確保されているが特定のブラウザでは使用できない機能などがあり、完全に同一のコードで全てのブラウザに対応することは難しい。

そのため、Chromeでは動作するがEdgeでは正しく表示されないといったバグが発生し開発者はその度にEdge向けのスタイルに切り替えるといった対応をする必要があった。EdgeがChromeベースになり、Edge特有のくせに惑わされることなくWebフロント開発が可能となるだろう。

Edge for macOSのインストール

Edge for macOSのインストールはパッケージインストーラで行う形式だ。Chromeとは違った方法なので注意が必要だ。パッケージインストーラを立ち上げたらContinueを押して次に進む。

ストレージの空き容量が十分にあることを確認してからInstallで次に進む。

システムのパスワードを求められる。macOSのログインパスワードを入力して次に進む。

インストールが開始される。完了するまで待とう。

インストールが完了したらランチパッドからMicrosoft Edgeを探せるはずだ。初期設定はデーターをインポートするかなどを聞かれる。お好みで選択しConfirmで次に進もう。

パスワードをインポートする。既に使っているブラウザの情報が使えると便利なのでAuthorize Password Importを選択する。もちろんSkip password importで飛ばしてもらっても構わない。

キーチェーンにアクセスするのでパスワードが必要になる。macOSのパスワードを入力し、Always Allow(常に許可)を押して再度入力する必要がないようにする。

セットアップが完了した。新しいEdgeを試してみよう。

Edge for macOSのFirst Look Review

ここからは、Edge for macOSを簡単にレビューしてみる。

Edge for macOSの外観は今までのEdgeと言うよりもChromeそのものである。UIのレイアウトもChromeとほぼ同じでChromeからの移行に戸惑うことはほぼないだろう。また、既存のEdgeからでも大きく操作性が変わることはないだろう。

上がChrome, 下が新しいEdgeであるボタンの位置もほとんど変わらない

MicrosoftらしいEdgeならではのオリジナリティーも

大方のUIはほとんどChromeと差はないが、設定画面やメニューのデザインはMicrosoftらしいものになっている。

また, Windows Defenderの機能なのか、Microsoft DefenderがmacOS版にも組み込まれている。

他のデバイスへのキャストなどがメニューから直接操作できるようになっている。

新しいEdge用の拡張機能ストアも用意されている。しかし、現時点で公開されている拡張機能はChromeのそれと比べてかなり少ない。

デベロッパーツールはChromeと同一の物を使うことができた。

使用感の総評

現時点ではCanaryバージョンなので不安定な箇所をあると考えられるが、筆者が使った限りでは特に不具合は見当たらなかった。この記事もEdge for macOSを使って書いたがサクサク動きエラーも起こらなかった。またYouTubeも正しく動作した。

新しいEdgeブラウザを試してみたい方はMicrosoft Edge Insiderからダウンロードできる。ただし、まだ安定バージョンではないので普段の常用にはお勧めできない。

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